蔡英文総統は27日午後、台湾北部・新竹県で開かれた工業技術研究院(ITRI)の第9代フェロー(中国語では院士)の称号記授与式に出席し、新たに選出されたフェローたちの台湾のイノベーションに対する寄与を称えた。また、蔡総統は工業技術研究院に対し、科学技術イノベーションで蓄積してきた堅実なエネルギーを使って今後も台湾の高度化や転換を促進し、ポストコロナ時代の世界のサプライチェーン再構築において台湾を必要不可欠な存在にするよう期待を寄せた。
工業技術研究院は2012年以降、毎年フェローを選出している。今年選出された新たなフェローは、台湾積体電路製造(TSMC)董事長の劉徳音氏、台湾積体電路製造総裁の魏哲家氏、中央研究院前院長の翁啓恵氏、ハーバード大学ビルゲイツ講座教授の孔祥重氏、国立台湾大学医学院名誉教授の李源徳氏の合計7人。
蔡総統はまず、工業技術院で開催されている「邁向2030與産業同行(=産業に寄り添い2030年に向かってまい進する)」と題するコロナ後の経済・産業をテーマとした特別展を参観した。その後に行われた第9代フェロー称号記授与式で、蔡総統は「このような素晴らしい時間を、皆さんと共に見守ることが出来て嬉しい」と述べ、新たに選出されたフェロー7人を祝福した。蔡総統はまた、新型コロナウイルス感染症対策における工業技術研究院の活躍にも感謝した。蔡総統は、工業技術研究院はとりわけ国産サージカルマスクの増産を積極的にサポートし、機械設備の組み立て分野で持つ豊富な能力を発揮して、マスクの生産ラインをスピーディーに設置するため重要な役割を果たしたと称えた。
蔡総統はさらに、工業技術研究院のR&D(研究・開発)分野の実力は海外でも注目され、評価されていると指摘。チェコ共和国のビストルチル上院議長が台湾を訪問した際には、特別に訪問団を率いて工業技術研究院を訪れたことを例に挙げた。特に工業技術研究院が開発した新型コロナウイルスのための小型核酸検査(PCR)システムは1時間以内で検査結果を知ることができ、ビストルチル上院議長も非常に感心していたと述べた。蔡総統はさらに、この技術が海外の認証機構が実施したブラインドサンプル試験にすべて合格したことに触れ、工業技術研究院がその技術と研究・開発能力を発揮し、世界に台湾の存在を知らしめたことに感謝した。
蔡総統は、「グローバル競争がますます激化する時代、国がより積極的に資源を投入し、あらゆる資源を融合して共に努力しなければ、研究・開発のエネルギーを最大限に発揮することができない。工業技術研究院は創立から40年余り、人材、技術、資源を結びつける役割を果たし、新たな領域を切り開いてきた。また、台湾の科学技術の研究・開発の実力のブレークスルーにとって重要な原動力となってきた」と説明した。
こうした上で蔡総統は、ポストコロナ時代、台湾が世界のサプライチェーン再構築において必要不可欠な重要な存在となるために、工業技術研究院が蓄えてきた科学技術イノベーションのエネルギーが必要で、工業技術研究院がこれからも台湾の高度化や転換をリードしてくれることを期待すると述べた。